自転車通勤は流行っているのか?

もくじ
- 自転車通勤者は激減している
- コロナ禍ですら日本の自転車通勤者は増えなかった
- イギリス(ロンドン)の自転車通勤者は4割増えた
- 日本で自転車通勤が増えない理由
- 今自転車通勤を始めるのがベストである3つの理由
- 通勤自転車ならロードバイク
自転車通勤者は激減している
結論から言うと流行っていません。絶対数に関して言えば、えらい勢いで減ってきています。
自転車駐車場整備センターの資料(2020年の国勢調査)によると
2000年 | 2010年 | 2020年 | |
日本の人口 | 1億2,680万人 | 1億2,810万人 | 1億2,600万人 |
全通勤・通学者 | 6,200万人(48.9%) | 5,800万人(45.3%) | 5,700万人(45.3%) |
自転車通勤・通学者 | 750万人(4.9%) | 650万人(5.1%) | 560万人(4.4%) |
となっています。
人口は2010年をピークに減り始めました。これ以降、日本は人口減少&超高齢化社会になっていきます。
全通勤・通学者は、2000年に比べて2010年は400万人減少(6%の減少)しました。これは団塊の世代が一気に退職した影響です。その後、2020年は2010年から更に100万人減少(2%の減少)しています。
自転車通勤・通学者の減少はさらに大きいものがあります。
2000年⇒13.3%減少⇒2010年⇒13.8%減少⇒2020年となっており、2020年は2000年から25%も減少しました。4人いたのが3人になった計算になります。
注目すべきなのは人口や就業人口の減少以上に自転車通勤・通学者の減少が激しいという点です。

コロナ禍ですら日本の自転車通勤の絶対数は増えなかった
各メディアや報道では、「SDGsやエコ、コロナ禍により自転車通勤は増える、トレンドだ」、と言われてきましたが、人口そのものや就業人口の減少の前ではさほど効果がなかったようです。
自転車総合研究所所長の古倉宗治氏は、「自転車駐車場整備センター」のWEBサイトに2023年2月15日に掲載したコラムで都心5区において「コロナは自転車通勤を拡大しなかった」と投稿しています(出展は以下のサイト)。
コロナ禍の東京で全然増えなかった「自転車通勤者」 利用者40%増のロンドンと何が違ったのか?、はこちら
自転車通勤が増えなかった理由は、
⇒走行環境や駐輪環境が緊急対策として用意されていなかった
ということで、要は「掛け声だけだったから」ということのようです。
東京都の自転車通勤者数については、わたしの肌感覚で言えば、コロナ禍以降、確実に減っています。
それまで通勤で見かけていたお馴染みの人々が「テレワークになった」とか「転職する」などの理由でいなくなりました。寂しい限りです。
その一方でau損保が自転車通勤者500人からとったアンケートでは23%の115人が「新型コロナ後に自転車通勤を始めた」と答えたとのことです。
コロナは自転車通勤者の絶対数を増やすほどのパワーはありませんでしたが、一定数の新規自転車通勤者を増やしたことは確かなようです。
ちなみに、同au損保が自転車通勤者500人からとったアンケートによれば、自転車通勤を始めた理由(複数回答)について、
新たに始めた115人にその理由を尋ねたところ(複数回答)、
- 「公共交通機関での通勤を避けるため」が95.7%(110人)
- 「運動不足解消のため」44.3%(51人)、
- 「ストレス解消のため」27.8%(32人)、
- 「交通費を節約するため」21.7%(25人)
、という結果だったようです。

イギリス(ロンドン)の自転車通勤者は4割増えた
その一方、イギリスのロンドンでは自転車通勤者は4割増えたとのことです
の理由として、
- イギリスでは通勤手当がない(通勤費は自腹!⇒節約のため自転車に)、
- コロナでスポーツジムが閉鎖されたため
- 単純にコロナのパンデミックが怖かった
、ことなどが挙げられています。
国によって事情がかなり違うんですね。
これでは違い過ぎて日本の自転車通勤者を増やすための参考にはなりません。

日本で自転車通勤が増えない理由
日本では人口や就業人口の減少以上に、自転車通勤・通学者の減少が激しいということが前述のデータからわかりました。なぜなんでしょうか。
理由は以下3点に集約されます。
人それぞれの事情により千差万別なのでしょうが、日本で自転車通勤が増えない理由は主に以下の3つであるとわたしは考えています。

(1) 多くの道路は自動車と自転車が仲良く走るようには設計されていない
日本の道路は自転車が走ることを想定して造られていませんでした。
多くの車道は自動車が走るスペースしかなく自転車が走る余地はありません。
そんななか、2022年11月1日に内閣府の交通対策本部は「自転車は車道を走るべし」と決めました。
しかしながら、実際には車道を自転車で走るのには危険なところが多いため、いまはまだ、お巡りさんでも自転車で歩道を走るケースが数多く見受けられます。
道路がそのようにできていないのに無理やり道路の左側に「自転車が走るスペースでござい」というようなマークが描かれているため、対面通行の道路では自転車が邪魔で自動車が渋滞している場面によく出くわします。
そういう道路は歩道も人一人がギリギリ通れるところが多いので結局は道路を使う全員が不便を感じています。
こんな道路ばかりだったら誰も自転車に乗りたいとは思わないでしょう。

いま、自転車通勤を始めるのがベストである3つの理由
以下3点の理由により今が自転車通勤を始めるのにベストの時期であると言えます。

(1) 再開発により自転車が走りやすい道路が今後増えていく
いままで自転車通勤が増えなかった原因が国や東京都により徐々に改善されつつあるため、今が自転車通勤を始める絶好の機会であると言えます。
東京都では2030年までに中野区、中央区、港区、新宿区、千代田区で大型の再開発が行われる予定になっています。
上記の5エリア以外では、板橋周辺十条地域や江東区の亀戸、江戸川区の小松川・大島地域、そして葛飾区立石周辺地域の再開発が街並みを一変させる大開発になるとも言われています。
それに加えて令和3年5月に国が「第2次自転車活用推進計画」を閣議決定し、持続可能な社会の実現に向けた自転車の活用が推進されることになりました。
また東京都でも、同じく令和3年5月に「東京都自転車活用推進計画」が策定され、誰もが快適に安心して自転車を利用できる環境の一層の充実を目指し、コロナ禍を踏まえた新しい日常への対応も加えられました。
自転車通勤の最大の障害であった「自転車には走り難い都内の道路」の問題は今後徐々に解消していきます。

(2) 公共交通機関での通勤にかかるストレスは増加している
JRや私鉄、地下鉄各線の相互乗り入れが増えたため、電車利用の利便性は飛躍的に向上しましたが、その一方でひとたびどこかで事故や故障が発生するとかなり広範囲に影響が出てくるようになってきました。
これは列車遅延が発生する全体的な確率がアップしたことになり、電車通勤者へのストレスは今後ますます増加していくことでしょう。
また事故や故障などなくとも、交通集中による列車の遅延で埼京線などは列車の遅延が常態化し、「交通集中による遅延は遅延としてカウントされない」状態となり、通勤時間には遅延している状態が「平常時」と考えられているかのようです。
乗客のイライラは募る一方です。自転車通勤では事故、故障、交通集中による遅延の頻度というのは、ありません。全行程自分のペースで通勤できます。

(3) 都心にも駐輪スペースは増加している
東京都の「都民安全推進部によるウェブサイト」をみると、都内のあらゆる自治体の駐輪場を探すことができるようになっています(異様に動作の遅いサイトなのですが・・・)。
ナビタイムや民間や個人で運営されているサイトを見ると、より多くの駐輪場を見つけることができます。
そうです、いまや自転車通勤をより快適に行う環境は徐々に整ってきているのです。

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